またしても本です。
何故かというと、懐具合がちと寂しく、ランチに出られないからです。
ランチに行けない→ネタがないとブログが書けない→本をネタにしよう(゚∀゚)!
華麗なる三段論法です。
『文人悪食』
文豪と食との関わりを、様々な角度から見つめています。
見つめているのは、嵐山光三郎です。
この人は、やはり超一流の編集者です。
作家によって、視点を変えるのですが、着眼点が素晴らしい。
例えば、森鴎外の『饅頭茶漬け』は有名ですね。
そこから嵐山光三郎は、
-森鴎外がなぜ饅頭茶漬けを好むようになったのか
-饅頭茶漬けを好むような森鴎外の人となり
食との関わりを見つめつつ、その人間性へ踏み込んでいくのです。
つまり、食を足がかりにした、人間観察の本です。
その視線が鋭い。
正直どこまでが真実なのかはわかりません。
嵐山光三郎が推理した部分が、かなりのページを占めている気もします。
しかし、緻密に調べぬいた(膨大な参考文献です)先の推理なので、説得力があり、つい納得してしまうのです。
取り上げられている文人は、37人。
そのすべてを同じ密度で描いているので、全部読み終わると、ぐったりします。
また、読んだ自分自身が、『文学研究者』になった錯覚を起こします。
つまり『知った気』になってしまうのです。
それほど密度が高いです。
まあ、それこそが、嵐山光三郎の思う壺だったりして・・・。
是非ご一読を。
文人悪食
著者 嵐山 光三郎
発行 新潮社
新潮文庫 743円+税